住宅購入のための減税策はどうなるか(住宅ローン控除編)

住宅の購入をする人のためにいろいろな減税制度が設けられていますが、その多くは〝期間限定〟となっています。〝期間限定〟にすることで、住宅の購入を促そうという、政府の思惑があります。

住宅ローン減税を始め、さまざまな減税策が、昨年に〝終了〟してしまいました。住宅購入が活況となっている昨今では、無理に延長させる必要もないと思うのですが、一度始めた減税策がなくなると、実質的には〝増税〟となってしまいます。そのために〝期間限定〟で始めた減税が、延長の繰り返しで、続くことが少なくありません。

昨年に終了となった多くの減税策を、そのまま、あるいは形を変えて延長することが今、審議されています。税制改正法案の成立は、来年度(2022年度)予算の成立と一緒に審議されますので、まだ確定ではありません。しかし、「税制改正大綱」として閣議決定されていますので、ほとんど決定と言ってもよい状態です。そして国会で法案が可決されれば、1月にさかのぼって適用されることになります。今回は、昨年に終了した、住宅購入のための減税策がどうなるかを見ていきます。今度の改正の特徴は、地球環境に配慮した住宅を購入する人には優遇を厚くするという点です。

 

① 住宅ローン減税

住宅を購入するためにローンを組むと、年末のローン残高に応じて、税金を安くしてくれる制度です。これによって所得税がゼロになる人も少なくなく、人気の高い減税策です。ただ、住宅ローンの金利が低い最近では、ローンの金利よりも減税策の方が大きくなってしまい、「優遇しすぎ」との批判が出ていました。そこで、減税する割合を小さくして、その分減税期間を長くする制度改正が行われます。

 

 

2021年まで

2022-23年

2024-25年

減税額

ローンの年末残高×1%

ローンの年末残高×0.7%

同左

減税期間

10年間(新築は11~13年目も減税あり)

新築:13年間
中古:10年間

優良住宅:13年間
その他:10年間

対象者の所得

3,000万円以下

2,000万円以下

2,000万円以下

 

2024年からは、一定の基準を満たした住宅(ここでは「優良住宅」と記載します。)とその他の住宅で減税期間が違ってきます。「優良住宅」にもいろいろなタイプがあり、それによって減税の枠が異なり、減税される最大限の金額が違ってきます。住宅の購入、新築だけでなく、一定の改修にも使えます。

<減税の対象になる住宅ローンの限度額>

  • 2021年まで
    • 長期優良住宅・エコ住宅:5,000万円⇒最大の減税額:500万円
      • 11~13年目も減税あり(減税額の計算が異なる)
    • その他の新築住宅:4,000万円⇒最大の減税額:400万円
      • 11~13年目も減税あり(減税額の計算が異なる)
    • 中古住宅:2,000万円⇒最大の減税額:200万円
  • 2022-23年
    • 長期優良住宅・エコ住宅:5,000万円⇒最大の減税額:455万円
    • ZEH住宅: 4,500万円⇒最大の減税額:5万円
    • 省エネ適合住宅:4,000万円⇒最大の減税額:364万円
    • その他の新築住宅:3,000万円⇒最大の減税額:273万円
    • 中古の優良住宅:3,000万円⇒最大の減税額:210万円
    • その他の中古住宅:2,000万円⇒最大の減税額:140万円
  • 2024-25年
    • 長期優良住宅・エコ住宅:4,500万円⇒最大の減税額:5万円
    • ZEH住宅: 3,500万円⇒最大の減税額:5万円
    • 省エネ適合住宅:3,000万円⇒最大の減税額:273万円
    • その他の新築住宅:2,000万円⇒最大の減税額:140万円
    • 中古の優良住宅:3,000万円⇒最大の減税額:210万円
    • その他の中古住宅:2,000万円⇒最大の減税額:140万円

 

「その他の~」以外は、いずれも省エネ効果があるなど、環境に配慮した工夫がされた住宅です。それぞれ、細かい基準が決まっており、一般の住宅に比べると建築費が高くつきます。その分、減税の対象となるローンの限度額が大きくなっています。

上記の「最大の減税額」の減税を受けるのは、実際にはかなり難しいのですが、ローンを組んだ1年目、2年目などは残高が限度額を超えていることが多く、限度額が大きいほど減税額が大きくなります。

それでも建築費や物件価格が高くなりますが、その後の省エネ効果も踏まえれば、けっして無駄ではないでしょう。地球環境に配慮することが、自分にもメリットなれば嬉しいですね。

検討される場合は、工務店や販売業者によく確認をしてください。

中古住宅の場合、住宅ローン減税が適用される対象が、築20年以内(マンションなどの耐火建築物は築25年以内)となっていましたが、新耐震基準に適合していれば、築年数の制限は廃止されます。1982年以降に建てられたもの(築40年)は適合しているとされますので、実質的に築40年に延びたと言えます。

住宅ローン減税は、10年間など、長く減税が続きます。手続きは、1年目だけは確定申告が必要でしたが、2年目からは年末調整で完了します。2023年(来年)の購入からは、1年目の確定申告も必要なくなります。金融機関が代行してくれることになります。

2022.1.24記

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