住宅購入のための減税策はどうなるか(その他の減税編)

② 優良住宅を新築した場合の減税

上記の住宅ローン減税との選択となりますので、主に住宅ローンを組まないで自宅を購入した人が対象になります。長期優良住宅・エコ住宅の建築費は、一般の住宅に比べて割高になります。その割高となった金額の10%が減税となる制度です。対象になる割高費用の上限が650万円となっていますので、最大65万円までを補助してくれると考えてもよいでしょう。

2023年まで2年延長となり、ZHE住宅も対象に加えられました。ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)住宅は、太陽光発電などで1次エネルギー消費量が実質的にゼロに抑えられる住宅です。

 

③ 改修工事に伴う減税

地球環境に配慮したり、高齢者が自宅で住めるようにしたりと、自宅の改修をした場合に減税となります。いずれも国が定める基準を満たしたもので、詳細については工務店などにお尋ねください。2年延長になり、2023年までとなりました。また、耐震改修などとあわせて行う「耐久性向上改修」が対象になりました。

いずれも改修費の10%が減税額ですが、対象となる改修費の上限が改修内容によって異なります。

  • バリアフリー改修:対象となる改修費の上限200万円(最大減税額20万円)
  • 三世代同居改修:同250万円(同25万円)
  • 耐震改修:同250万円(同25万円)
  • 省エネ改修:同250万円(同25万円)
    • 太陽光発電を設置する場合は、同350万円(同35万円)
  • 耐久性向上改修+耐震改修or省エネ改修:同250万円(同25万円)
    • 太陽光発電を設置する場合は、同350万円(同35万円)
  • 耐久性向上改修+耐震改修+省エネ改修:同500万円(同50万円)

 

④ 住宅資金の場合の贈与税の非課税制度

たとえ親からであれ、まとまった資金をもらったら贈与税がかかります。ただ、自宅購入などの際に親が援助をすることは珍しくありません。そこで、親または祖父母からの、自宅購入資金の援助であれば、一定額までは非課税とする制度があります。非課税の枠を変えて、2023年まで2年延長になりました。贈与を受ける人は18歳以上となります。

  • 2021年までの非課税枠
    • 新築の省エネ住宅・耐震住宅・バリアフリー住宅:1,500万円
    • それ以外の新築:1,000万円
    • 中古の省エネ住宅・耐震住宅・バリアフリー住宅:1,000万円
    • それ以外の中古:500万円
  • 2022-23年の非課税枠
    • 省エネ住宅・耐震住宅・バリアフリー住宅:1,000万円
    • それ以外:500万円
    • 中古住宅の場合、住宅ローン減税が適用される対象が、築20年以内(マンションなどの耐火建築物は築25年以内)となっていましたが、新耐震基準に適合していれば、築年数の制限は廃止されます。1982年以降に建てられたもの(築40年)は適合しているとされますので、実質的に築40年に延びたと言えます。

 

⑤ 住み替えるために自宅を売却した場合の値上がり益の繰り延べ

住み替えのために、10年以上住んでいた(所有も)自宅を売却すると、値上がり益に所得税がかかります。値上がり益が大きいと所得税が高額になり、住み替えの自宅の購入に充てられません。そこで、今回の住み替えでは利益に税金をかけず、その利益を持ち越すことができるようにする制度です。新しく購入した自宅をまた売却した際に持ち越した利益が課税の対象になりますので、厳密な意味では減税ではありませんが、当面の住み替えがしやすくなります。2023年までの2年間はこのまま延長されます。2024年からは、取得する新しい自宅は省エネ基準を満たすものに限定されるようになります。

 

⑥ 住み替えるために自宅を売却した場合の値下がり損の損益通算と繰越

住み替えのために、自宅を売却した際に損失となる場合もあります。不動産の売却で損失となっても、それを給料など他の収入と相殺して所得税を減らすことはできません。ただ、5年以上所有した自宅を売却した場合は、それを認めるようにします。損失を翌年に繰り越すこともできます。制度は変わらず、2年延長します。

 

⑦ 住宅ローンが残る自宅を売却した場合の値下がり損の損益通算と繰越

5年以上所有した自宅を売却し、その売却代金で住宅ローンを返済しても、さらにローンが残ってしまう場合があります。その場合は自宅の値下がり損を他の所得と相殺して所得税を減らすことができます。損失を翌年に繰り越すこともできます。こちらも制度は変わらず、2年間延長します。

2022.1.29記

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