自宅の相続①

戦後70年が経過しました。
日本では、終戦後の高度成長期に多くの若者が田舎から都会へと出てきました。
そして、都会で就職し、結婚し、家庭を築いてきました。
今、その世代が70代、80代となっています。
この世代からベビーブーム世代までの多くが都市近郊で一戸建てやマンションを購入してきました。
そして、子供は2人が多い。
そうなると、やがて〝相続の問題〟が発生します。
これからは、自宅をめぐる相続の問題が増えてくることでしょう。
〝相続の問題〟は、けっして富裕層だけの問題ではありません。
これから数回にわたり、「自宅」についての〝相続の問題〟を考えてみます。

〝相続の問題〟を考える場合には、「相続税の問題」と「財産分割」の問題をきちんと分けて考えなければなりません。
まずは「相続税の問題」から見てきます。
数年前、相続税は実質的に〝増税〟となりました。
税率が引き上げられたわけではないのですが、税金がかからない「基礎控除額」が引き下げとなり、そのために実質的に〝増税〟となったのです。

<相続税がかからない「基礎控除額」の引き下げ>

平成26年まで:基礎控除額=5,000万円+1,000万円×法定相続人の数

平成27年から :基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

現状では、相続税がかかる人は、亡くなっている人の4%程度ですが、この改正が行われ、ある程度増えるものと考えられています。(今のところ、何%になったのかは公表されていません。)
首都圏で庭付き一戸建ての自宅を保有している人は、相続税がかかるようになる可能性があります。
そうなると、富裕層ではないご家庭でも、相続税の対策を考える必要があります。

相続税の申告と支払いは、死亡後10カ月以内となっています。
10カ月以内に、税務署に申告書を提出し、相続税額を現金で、一括で支払わなければなりません。
期限に遅れた場合は、延滞税が上乗せされます。
相続税がかからない場合は、申告をする必要はありませんが、相続については、税務署は見逃しません。
相続税がかかるか微妙な場合は、税理士に財産評価をしてもらい、申告をするなどの対策をとっておいた方がよいでしょう。

相続税を、一括で支払うことができない場合は、「延納」といって、年払いで分割で支払う方法もあります。
その場合は、利息に相当する利子税がかかり、その分も含めて、元利均等払いで支払うことになります。
また、担保の提供が必要です。
相続税を現金ではなく、物で支払う「物納」という制度もありますが、物納できる物が不動産や債券などに限られ、利用できる条件も厳しくなっています。

それだけに、相続税がかかりそうな場合は、節税対策とともに、納税資金の準備も考えておく必要があります。

相続税がかかりそうな場合は、節税対策とともに、納税資金の準備も考えておく必要があります。
相続税は、相続をする家族全体の相続税の金額を計算し、それを実際に財産をもらった割合で案分して支払います。
自宅を相続する相続人に相続税を払う負担がかかる場合があります。
しかし、自宅を長男に、現金は次男に。。。のように財産を分けた場合には、長男が「自宅をもらったものの、相続税を払う現金がない」ということにもなりかねません。
自宅に相続税がかからないように節税対策をしておく、相続税支払いの資金を準備しておく、などの対策が必要になります。 Grid Tabl

質問はこちらから