小規模宅地の評価の特例①

「小規模宅地の評価の特例」という制度についてご紹介いたします。
今年から相続税が実質的に引き上げとなりましたが、それだけにこの制度の重要性が増してきました。
これは、相続税を計算する際に、亡くなった人の自宅の土地については評価額を低くする、つまり相続税がかかりにくくする、という制度です。
ちなみに、「小規模宅地の評価減」と言われることもあります。

制度の仕組みを理解するには、〝歴史を振り返る〟のが最も効果的です。
いわゆる「平成バブル」の頃、不動産価格が高騰し、都心部などでは土地の相続税評価額がかなり上昇しました。
自宅の所有者が亡くなり、遺族が自宅の土地を相続した際に、相続税が払えずに、住まいを追われてしまうという現象が起きてしまいました。
もちろん、売却すれば高く売れるのですが、自宅として住んでいるだけでしたら、地価が上がっても恩恵はありません。
十分な預貯金があればよいのですが、そうでない場合は相続税の納税資金を用意できないということになってしまい、社会問題になりました。
そこで、「亡くなった人の自宅」で、かつ「相続した人が住む」という場合に限り、自宅の時の価格を大幅に安く評価するという制度を設けました。
これが「小規模宅地の評価の特例」です。その後、適用条件などは何度か変更されており、今の条件は下記のようになっています。
なお、評価額が下がるのは、土地だけで、建物の評価額は変わりません。

●自宅:330㎡までは、本来の評価額の2割(8割減)の価格とみなす。

<亡くなった人が住んでいた自宅>

  1. 配偶者が相続:無条件で、「小規模宅地の特例」が適用できる。
  2. 同居の親族が相続:申告期限(10ヶ月後)までに、自宅を売却せずに住んでいること。
  3. 別居の親族が相続:直近3年間、本人・配偶者が自分の持ち家に住んでいないこと。そして、申告期限まで売却しないこと。

<亡くなった人が所有していて、生計が同じ親族が居住している家>

  1. 配偶者が相続:無条件で、「小規模宅地の特例」が適用できる。
  2. その家に住んでいる親族:申告期限(10ヶ月後)までに、自宅を売却せずに住んでいること。

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