住宅ローンの名義

住宅ローンの名義の問題についてご説明いたします。
夫婦共働きの場合の住宅ローンを組み方には、以下の方法があります。

  1. 夫または妻が単独でローンを組む
  2. どちらかが単独でローンを組み、もう一方は連帯保証人となる(収入合算ができる)
  3. どちらかが主債務者、もう一方が連帯債務者となる(収入合算ができる)
  4. それぞれが別に住宅ローンを組む(ペアローン;住宅ローンが2本となる

 

住宅ローンをどのように組むかによって、登記する自宅の持分割合が変わってきます。
また、住宅ローン控除にも影響してきますので、その点も考慮して決める必要があります。
さらに、住宅ローンには名義人に万が一のことがあったら(死亡したら)、残りの住宅ローンの返済を免除する、という「団体信用生命保険」がついています。
その対象がどうなるかも異なります。
それぞれの特徴を見ていきましょう。

 

① 夫または妻が単独でローンを組む

住宅の持分は、住宅ローンを充当した分については、そのローンの名義人となります。

住宅ローン控除は、住宅ローンを組んだ人が対象になります。
夫だけがローンの名義人の場合は、夫の所得税と住民税しか減税の対象となりません。
所得税が多い人でないと、住宅ローン減税のメリットを最大限に生かし切れない可能性があります。

団体信用生命保険は、ローンの名義人のみが保障の対象となります。
共働きでは、ローンの名義人ではない配偶者が亡くなった場合に収入が少なくなり、返済が苦しくなる可能性があります。

 

② どちらかが単独でローンを組み、もう一方は連帯保証人となる(収入合算ができる)

配偶者を連帯保証人とすることで、収入の合算をして住宅ローンの借入限度額を決めてくれる金融機関があります。
連帯保証人としなかった場合に比べて、住宅ローンを多く借りられるようになります。
連帯保証人とは、ローンの名義人が返済不能となった場合に、債務を負う立場となります。

持分や住宅ローン控除、団体信用生命保険などの扱いは、単独でローンを組む場合とまったく同じです。
持分も住宅ローン控除も団体信用生命保険も、住宅ローンの名義人だけが対象となり、連帯保証人は考慮されません。

 

③ どちらかが主債務者、もう一方が連帯債務者となる(収入合算ができる)

夫婦二人で、共同で住宅ローンを組むことになります。

持分の割合は、実際に夫婦でどれくらいの割合で返済の負担をするかで決めます。
共同の家計から返済している場合は、二人の収入の割合で決めてもよいでしょう。

また、住宅ローン控除を最大限に使えるように割合を決めることもできます。
というのは連帯債務の場合、住宅ローン控除は夫婦二人とも適用対象となります。
適用される住宅ローンの残高は、持分の割合で負担しているとみなされます。
5,000万円の住宅ローンを組んだ場合、単独では4月以降で最大4,000万円までしか住宅ローンの対象にはなりません(一般住宅の場合)。
しかし連帯債務であれば、夫婦それぞれが2,500万円の住宅ローンを負担しているとして、それぞれが住宅ローン控除を受けることができ、減税額が大きくなります。

一方、団体信用生命保険は、主債務者のみが対象となるのが一般的です。(住宅金融支援機構の「フラット35」では、所定の特約料を払うことで夫婦ともに保障対象とできる場合があります。)

 

④ それぞれが別に住宅ローンを組む(ペアローン;住宅ローンが2本となる)

夫婦がそれぞれ別に住宅ローンを組みます。
2本の住宅ローンを別々に組むことになります。
ただし、抵当権の問題もあり、同じ金融機関で「ペアローン」として利用するのが一般的です。

持分は、それぞれのローンの割合で決まります。

住宅ローン控除はそれぞれ別に利用することができます。

団体信用生命保険は、それぞれの住宅ローンに、別々についていますので、万が一のことがあった場合は、死亡した人のローンがなくなります。

 

住宅ローン控除を最大限に生かすには、夫婦が連帯債務者となる、またはペアローンを利用するという選択肢となります。
しかし、自宅の持分にも関わりますので、税金面の有利不利だけで決めるのではなく、ご夫婦で納得のいく方法を選びたいものです。

 

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